ディベート血液学 第6回(つづき)
Ph陽性急性リンパ性白血病の寛解導入療法 ~TKI単独療法かTKI併用化学療法か~Ph陽性急性リンパ性白血病を治癒へと導くために ~TKI併用寛解導入療法の方向性~
藤澤信
1
Shin Fujisawa
1
1横浜市立大学附属市民総合医療センター 血液内科 部長
pp.428-432
発行日 2017年2月28日
Published Date 2017/2/28
DOI https://doi.org/10.20837/5201703092
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近年,Ph陽性急性リンパ性白血病に対して,チロシンキナーゼ阻害剤(TKI)と化学療法とを併用した寛解導入療法に関する前向き臨床試験の治療成績が多く報告されている。その結果,血液学的完全寛解率は100%に近い数字が得られるようになり,さらには分子遺伝学的完全寛解も多くの症例で到達可能となったことで,その後の同種造血幹細胞移植により治癒も期待される。その一方で治療関連による重篤な有害事象は回避されなければならず,治療強度を減弱した化学療法も報告されている。同種移植が可能な症例から高齢者や重篤な臓器障害を有する症例など,今後は様々な症例に対応可能なTKI併用寛解導入療法の検討が必要である。