連載 臨床研究のススメ—エビデンスを創ろう・第4回
コホート研究
木村 朗
1
Akira KIMURA
1
1群馬パース大学大学院医療科学領域・生体機能分野
pp.465-468
発行日 2023年4月15日
Published Date 2023/4/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1551203027
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研究以前に分数の思想をマスターしよう
臨床研究の基礎をなすのは疫学です.疫学とは特定の地域において,健康問題の発生を調べること,その発生頻度や地理・時間の条件,気になる要因による分布,それらによる発症率などの頻度から原因を特定し,因果関係を明らかにすることを担う科学です.臨床研究は,この疫学を臨床場面に適応して,治療方法の方針に確率的な見方を加えて,判断するための材料を得ることを目的として発展した分野であると言えるでしょう.
疫学を武器に臨床課題に取り掛かる際に,重要な考え方の枠組み(フレームワーク)を持ち合わせると,後が楽になります.それは,病気や障害をもつ人に焦点を当てるのが医療であり,医療の研究における分数の分母は,必ず健康な人と病気の人を合わせたものであり,分子はそのなかで病気の人の数を対象として行われる,という考え方です.臨床研究には疫学的発想が加わることから,この分数で言えば,分母の健康な人と病気の人の両者とも対象にして分析を行うことに特徴をもつ,と考えてみてください.
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