特集 造血器腫瘍の分子標的治療の進歩
7.多発性骨髄腫
木下史緒理
1
,
飯田真介
2
Shiori Kinoshita
1
,
Shinsuke Iida
2
1名古屋市立大学大学院 医学研究科 血液・腫瘍内科学
2名古屋市立大学大学院 医学研究科 血液・腫瘍内科学 教授
pp.1777-1786
発行日 2015年11月30日
Published Date 2015/11/30
DOI https://doi.org/10.20837/5201512079
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我が国では,ボルテゾミブ(bortezomib:BTZ)・サリドマイド(thalidomide:THAL)・レナリドミド(lenalidomide:LEN)の3剤が骨髄腫に対する新規治療として認可され,臨床で幅広く使用されている。さらに,新規の免疫調節薬であるポマリドミド(pomalidomide:POM),新規の分子標的薬であり,脱アセチル化酵素(Deacetylase:DAC)阻害剤であるパノビノスタット(panobinostat:PAN)が新たに認可され,骨髄腫患者の生命予後は改善されてきている。しかし,上記の薬剤の不耐例や薬剤耐性患者も増え始めており,それらに対する対策はまだ十分になされていない。 近年,新規のプロテアソーム阻害剤として,カルフィルゾミブ(carfilzomib:CFZ)および経口剤であるイグザゾミブ(ixazomib:MLN9708),抗体医薬として抗SLAMF7(CS1)抗体(エロツズマブ〔elotuzumab:Elo〕),抗CD38抗体(ダラツムマブ〔daratumumab:Dara〕)などの開発が進んでいる。本稿では,多発性骨髄腫における分子標的治療薬の進歩について概説する。