特集 フォンウィルブランド病 ~分子基盤から臨床まで~
1.分子基盤 3)フォンウィルブランド因子の糖鎖構造と機能 ~ABO血液型~
松井太衛
1
,
濵子二治
2
Taei Matsui
1
,
Jiharu Hamako
2
1藤田保健衛生大学 医療科学部 生物学 教授
2藤田保健衛生大学 医療科学部 理学 教授
pp.1167-1176
発行日 2014年7月30日
Published Date 2014/7/30
DOI https://doi.org/10.20837/52014081167
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ヒト・フォンウィルブランド因子(VWF)は,15~20%の糖を含み,ABO(H)血液型糖鎖を持つユニークな血漿糖タンパク質である。最近,VWFの糖鎖の詳細な構造と生理機能が解明されてきた。GP I b結合サイトを含むA1ドメインのN末端側の4本のSer/Thr結合型糖鎖クラスターは,GP I bとの結合に抑制的に作用しており,A1ドメインのC末端側の4本のSer/Thr結合型糖鎖クラスターやA2ドメインのAsn結合型糖鎖および血液型糖鎖は,ADAMTS13に対する感受性に関与することなどが明らかになってきた。遺伝子解析ではとらえることができない糖鎖の役割が注目されてきている。