特集 フォンウィルブランド病 ~分子基盤から臨床まで~
1.分子基盤 1)フォンウィルブランド因子の生合成 ~遺伝子制御・発現・放出機構~
松井英人
1
,
杉本充彦
2
Hideto Matsui
1
,
Mitsuhiko Sugimoto
2
1奈良県立医科大学 血栓制御医学 講師
2奈良県立医科大学 血栓制御医学 教授
pp.1149-1159
発行日 2014年7月30日
Published Date 2014/7/30
DOI https://doi.org/10.20837/52014081149
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
- 参考文献
Von Willebrand因子(VWF)は,血管内皮細胞のWeibel-Palade体(Weibel-Palade Bodies:WPBs)に細管構造体として貯蔵されている。VWFはいったん放出されると驚くほど長い数珠なり構造へと変化し,血管損傷部位における血小板粘着・凝集反応を仲介し,生体止血機構に重要な貢献をする。近年,WPBsの構造体変化の分子機構が解明されつつある。 すなわち,しっかりきつく折りたたまれたVWF細管構造体が血管内皮細胞上で数珠なりに構造変化する現象は,WPBsにおけるエキソサイトーシスで起こることが明らかになった。エキソサイトーシスは,WPBs内細胞小器官の立体構造変化で起こることから,WPBsの分子機構の解明は,数種サブタイプvon Willebrand Diseaseの病態/治療にも重要であると考えられる。