連載 血液今昔物語 血液病‐原典・現点
第25回 骨髄増殖性疾患 ~DameshekからJak2変異へ~
吉田彌太郎
1
Yataro Yoshida
1
1医仁会武田総合病院 血液病センター センター長
pp.1314-1318
発行日 2013年8月30日
Published Date 2013/8/30
DOI https://doi.org/10.20837/52013091314
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原典 Dameshek W:Some speculations on the myeloproliferative syndromes. Blood 6:372-375, 1951. 要旨 1951年にDameshekは,慢性骨髄性白血病(chronic myelogenous leukemia:CML),真性多血症(polycythemia vera:PV),本態性血小板血症(essential thrombocythemia:ET),原発性骨髄線維症(primary myelofibrosis:PMF),赤白血病(DiGuglielmo syndrome)を,骨髄増殖性疾患(myeloproliferative disorders:MPD)の名称で一括することを提案した1)。これらは単一血球系の増殖ではなく,3血球系の慢性腫瘍性増殖であり,病型間のオーバーラップや移行もこの概念で説明できるとした。やがてCMLはPh1染色体や特異的遺伝子異常bcr-ablで独立疾患となり,赤白血病も除いた残りのPV,ET,PMFの3疾患がMPDと扱われてきた。MPDのクローン性起源はX染色体不活性化を利用したG6PDの解析でも明らかになったが,2005年にJAK2遺伝子変異が共通の異常として高率に出現することがわかり2~4),MPD(WHO分類ではmyeloproliferative neoplasm:MPN)の概念に新たな展開が生まれた。