Topics 「身近な話題・世界の話題」(112)
PD-1/PD-L1に対する抗体を用いたがん免疫療法
多田耕平
1
,
平家勇司
2
Kohei Tada
1
,
Yuji Heike
2
1国立がん研究センター中央病院 造血幹細胞移植科
2国立がん研究センター中央病院 造血幹細胞移植科医長
pp.234-239
発行日 2013年1月30日
Published Date 2013/1/30
DOI https://doi.org/10.20837/5201302234
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PD-1は活性化したT細胞の膜表面上に発現する分子で,抗原提示細胞や腫瘍細胞の膜表面上に発現するリガンドPD-L1/PD-L2が結合すると,T細胞のエフェクター機能が抑制される。この機序は,患者体内に内因性に存在する腫瘍特異免疫から,腫瘍細胞が逃れる機構の1つである。近年,PD-1-PD-L1の相互作用を阻害することで,抗腫瘍免疫を誘導,増強するがん免疫療法の大規模なphase I 試験の結果が報告され1,2)注目されている。現在,対象臓器を絞り込んだPhase III 試験と,それと並行して,効果予測などのバイオマーカー探索研究が行われており,その結果が待たれるところである。さらに,本薬剤と既存の治療法の併用療法も試みられており,大きな期待が寄せられている。