連載 記憶に残る症例(36)
インターロイキン6と心房粘液腫
田中敏郎
1
Toshio Tanaka
1
1大阪はびきの医療センター副院長
pp.1534-1536
発行日 2017年10月15日
Published Date 2017/10/15
DOI https://doi.org/10.20837/3201711102
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Interleukin-6(IL-6)の過剰な,また持続的な異常産生が,免疫炎症性疾患の発症や進展に関与することが明らかとなり,IL-6阻害療法が確立された。ヒト化抗IL-6受容体抗体トシリズマブは,本邦で開発された抗体医薬であり,現在,世界中において関節リウマチ,キャッスルマン病,若年性特発性関節炎に対して,米国では巨細胞性動脈炎に対して使用されている。初めて,IL-6の過剰産生が病気の進展や合併症に関与することが示唆されたのは,膠原病様症状を呈した心房粘液腫の症例であり,その症例を振り返ってみたい。