特集 アレルギー疾患患者のQOL
Ⅲ.耳鼻咽喉科 3.免疫療法とアレルギー性鼻炎患者のQOL
岡野光博
1
,
古舘佐起子
2
Mitsuhiro Okano
1
,
Sakiko Furutate
2
1国際医療福祉大学医学部耳鼻咽喉科教授
2国際医療福祉大学医学部耳鼻咽喉科病院講師
pp.1210-1217
発行日 2017年8月15日
Published Date 2017/8/15
DOI https://doi.org/10.20837/3201709086
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アレルゲン免疫療法はアレルギー性鼻炎の長期寛解が期待できる治療法である。現在,投与経路として皮下免疫療法と舌下免疫療法が行われている。両者とも,特に成人例ではQOLを改善させうることが示されている。通年性アレルギー性鼻炎(ダニアレルギー)では疾患特異的なQOLの改善に寄与する。ダニ舌下錠による舌下免疫療法では,300 IR錠の投与によりプラセボに比較してQOLの有意な改善が認められた。季節性アレルギー性鼻炎,特にスギ花粉症でも同様であり,自験例では皮下免疫療法は「睡眠」や「戸外活動」,舌下免疫療法は「精神生活」で有意な効果を示し,これらのQOL低下に悩む患者には良い適応であると思われた。一方,スギ花粉抗原を用いた免疫療法のヒノキ花粉飛散期でのQOL改善効果はスギ花粉飛散期に比べ限定的であり,Cha o 3などヒノキ花粉抗原に特異的なコンポーネントの影響が示唆された。小児においては免疫療法のQOL改善効果については結論が得られておらず,適切なQOL調査票の開発などが望まれる。