特集 痒みのメカニズム2016
Ⅳ.新しい痒み研究のマウスモデル
藤井正徳
1
Masanori Fujii
1
1京都薬科大学病態薬科学系薬理学分野准教授
pp.1206-1212
発行日 2016年8月15日
Published Date 2016/8/15
DOI https://doi.org/10.20837/3201609030
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ヘアレスマウスに特殊飼料を長期間給餌すると,皮膚バリア機能障害を発端として,アトピー性皮膚炎類似の皮膚炎症状が発現する。本モデルの掻痒様行動の発現には,皮膚炎症反応よりもむしろ皮膚バリア機能低下が関与することを明らかにした。また,ethanolやバルビツール酸系薬など催眠作用がある薬物の投与により掻痒様行動が顕著に増強する興味深い現象を見出した。本マウスは,アトピー性皮膚炎における慢性の痒みのメカニズムを解析するのに有用なモデルであると考えられる。