特集 痒みのメカニズム2016
Ⅴ.ステロイド外用が誘発する痒み
山浦克典
1
,
船越彩花
2
Katsunori Yamaura
1
,
Ayaka Funakoshi
2
1慶應義塾大学薬学部教授・附属薬局長
2千葉大学大学院薬学研究院臨床薬理学研究室
pp.1214-1223
発行日 2016年8月15日
Published Date 2016/8/15
DOI https://doi.org/10.20837/3201609038
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我々は,ハプテン誘発性の慢性接触皮膚炎マウスにおいて,長期間のステロイド外用療法が皮膚の炎症を抑制する一方で瘙痒を増悪させることを見出し,本現象を“ステロイド外用誘発瘙痒”とした。ステロイド外用誘発瘙痒は,ステロイドの相対的効力の影響を受けずステロイド普遍的に発症するものの,正常皮膚マウスにはみられない現象であった。その機序として,内因性瘙痒抑制因子であるプロスタグランジンD2の産生低下が考えられた。また,プロスタグランジンD2受容体DP1アゴニストにより,本瘙痒が抑制できる可能性が示唆された。