連載 記憶に残る症例(16)
アレルギー性真菌性副鼻腔炎-初めての経験-
大塚博邦
1
,
黒崎貞行
2
,
波多野吟哉
3
Hirokuni Otsuka
1
,
Sadayuki Kurosaki
2
,
Ginya Hatano
3
1大塚耳鼻咽喉科医院院長
2黒崎耳鼻科・皮膚科クリニック院長
3はたの耳鼻咽喉科院長
pp.730-734
発行日 2015年4月15日
Published Date 2015/4/15
DOI https://doi.org/10.20837/3201505094
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20年前,未経験の症例に遭遇した。左鼻閉と粘稠性鼻汁を主訴とする44歳男性,左鼻腔は蒼白色の下鼻甲介が内方に変位し鼻茸を認めた。CTで上顎洞内側壁は圧迫による菲薄化が見られた。左上顎洞下鼻道側壁を穿刺し洗浄を行うと,大量の固形物が排出された。固形物には好酸球の集積が見られた。手術的に上顎洞を解放し固形物を除去,浮腫状の粘膜を剥離除去した。洞内の固形物中の好酸球集積内には真菌が見られたが,粘膜内では好酸球の浸潤はあったが真菌は認められなかった。本邦3番目に報告したアレルギー性真菌性副鼻腔炎について紹介した。