特集 アレルギー性結膜疾患 アップデート
V.春季カタル治療の現在・近未来
海老原伸行
1
Nobuyuki Ebihara
1
1順天堂大学医学部附属浦安病院眼科教授
pp.684-691
発行日 2015年4月15日
Published Date 2015/4/15
DOI https://doi.org/10.20837/3201505048
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春季カタルは年少の男子に多く,成長に伴い寛解・治癒することが多い疾患である。以前は春季カタルの治療はステロイド点眼液が主であったが,眼圧上昇などの副作用があった。2008年に免疫抑制薬点眼液の0.1%シクロスポリン点眼液,2010年に0.1%タクロリムス点眼液が使用できることになり,重症の春季カタルも眼圧の上昇なしに治癒できるようになった。そして易再燃症例に対しては免疫抑制薬点眼のpro-active療法が効果を示すことも明らかになった。しかし点眼療法に抵抗する症例が存在することも確かである。そのような症例には,シクロスポリンの内服療法や,ヒト型抗IgE抗体製剤,自然型アレルギー反応を標的とした薬剤の開発が期待される。