連載 記憶に残る症例(14)
慢性副鼻腔炎が発症の誘因と考えられた血管性浮腫症例
洲崎春海
1
Harumi Suzaki
1
1総合東京病院 鼻副鼻腔・アレルギー疾患研究所所長
pp.322-325
発行日 2015年1月15日
Published Date 2015/1/15
DOI https://doi.org/10.20837/3201502126
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顔面に浮腫を認める症例では,痒みのない限局性浮腫が繰り返し出現する血管性浮腫の存在も常に念頭におかなければならない。遺伝性の有無により遺伝性血管性浮腫と血管性浮腫に大別される。遺伝性血管性浮腫では補体第1成分阻害因子C1 inhibitor(C1 INH)の欠損がみられる。血管性浮腫は本質的には蕁麻疹の巨大型で,種々の誘因で発症する。抗アレルギー薬,副腎皮質ステロイド薬の投与が有効であるが,できるだけ発症誘因を除去することが肝要である。本症例は慢性副鼻腔炎が発症の誘因と考えられ,副腎皮質ステロイド薬で症状が軽快した後に内視鏡下副鼻腔手術を行い,慢性副鼻腔炎が治癒した後は経過良好であった。