特集 アレルゲン免疫療法~臨床の最前線~
VI.舌下免疫療法の歴史とオーバービュー
藤枝重治
1
Shigeharu Fujieda
1
1福井大学医学部耳鼻咽喉科・頭頸部外科学教授
pp.1085-1092
発行日 2014年6月15日
Published Date 2014/6/15
DOI https://doi.org/10.20837/3201407057
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舌下免疫療法は,皮下免疫療法の欠点を補いつつ同等の治療効果を得るために行われるようになった。2003年のコクランデータベースに22のプラセボ対照ランダム化比較試験によるメタ解析が発表されて以来,その有用性が世界的に認識され,花粉抗原を主に広く行われるようになった。皮下免疫療法に比べ,アナフィラキシーや重篤な気管支喘息の誘発は有意に少ないが,口腔の痒み,腫脹など軽微な副反応発現は,むしろ多い。そのため舌下免疫療法施行前には,十分な患者への説明が必要である。治療効果に関しては,皮下免疫療法よりもやや弱い解析結果で発表されているが,ダブルダミーを使用した臨床研究は現在遂行中であり,その結果が待たれるところである。本邦では近い将来,スギ花粉症,ダニアレルギーに関して臨床応用が可能である。