連載 記憶に残る症例(6)
研究課題を与えてくれた3症例
山本昇壯
1
Shoso Yamamoto
1
1広島大学名誉教授
pp.714-719
発行日 2014年3月15日
Published Date 2014/3/15
DOI https://doi.org/10.20837/3201404132
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私に研究課題を与えてくれた記憶に残る3症例について述べた。いずれも皮膚疾患としてはきわめて日常的で特筆すべきものはないが,それぞれが解析してみたいと思わせる所見を示していた。症例1はマスト細胞を反応の場とする遅発反応が皮膚にも存在することを,症例2はケラチノサイトが皮膚マスト細胞の増殖分化に重要な役割を担っていることを,そして症例3は同じくケラチノサイトがIgEの産生を増強する何らかの因子を産生している可能性をそれぞれ示唆していた。それらの解析結果は,私のアトピー性皮膚疾患の病態の理解を大いに助けてくれた。