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特集 次世代シーケンサーが可能にした感染学の新しい展開
3.NGSを使った微生物叢・集団の解析 1)NGSによるヒト腸内細菌叢の組成解析の進展-腸内菌叢と宿主の健康・疾病・感染症との関わり-
Community structure analysis of the human gut microbiota-Recent advance and its impacts on human health and disease-
松木隆広
1
,
渡邊洋平
2
,
松本敏
3
Matsuki Takahiro
1
,
Watanabe Yohei
2
,
Matsumoto Satoshi
3
1ヤクルト中央研究所基盤研究所 共生システム研究室 室長
2ヤクルト中央研究所基盤研究所 共生システム研究室
3ヤクルト中央研究所基盤研究所 所長
キーワード:
腸内菌叢
,
メタ16S解析
,
多様性解析
Keyword:
腸内菌叢
,
メタ16S解析
,
多様性解析
pp.97-104
発行日 2017年6月25日
Published Date 2017/6/25
DOI https://doi.org/10.20837/2201707097
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ヒトの腸内では多種多様な微生物が相互にバランスを保ちながら絶えず増殖を続けており,腸内菌叢と呼ばれる複雑な微生物生態系を形成している。近年の研究の進展によって腸内菌叢は,腸管粘膜免疫系の成熟,病原性菌の増殖抑制,生理活性物質の代謝ならびに難消化性多糖の分解等のさまざまな役割を果たしていることが示されている。また,腸内菌叢の異常(ディスビオーシス)が炎症性腸疾患や大腸がんなどの腸の疾病にとどまらず,肥満や糖尿病,循環器疾患などの全身性の疾病にも関与することが明らかになっており,臨床の現場においても腸内菌叢の基本的な概念や疾病との因果関係を理解する必要がある。本稿では次世代シーケンサー(Next Generation Sequencer:NGS)を用いた腸内菌叢の組成解析方法とそこから得られる基本情報について解説し,感染症学へのNGS解析の利用について,展望も含めて議論する。