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連載 私達の研究(163)
なぜ百日咳菌はヒトにだけ感染して激しい咳発作を起こすのか
Attempts to understand how pathogenic Bordetella exert specific pathogenicity in specific hosts?
堀口安彦
1
Horiguchi Yasuhiko
1
1大阪大学微生物病研究所・分子細菌学分野 教授
キーワード:
百日咳菌,気管支敗血症菌,咳発作,宿主特異性
Keyword:
百日咳菌,気管支敗血症菌,咳発作,宿主特異性
pp.101-109
発行日 2016年9月25日
Published Date 2016/9/25
DOI https://doi.org/10.20837/2201610101
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百日咳菌(Bordetella pertussis)は激しい咳発作を特徴とするヒトの呼吸器感染症の原因菌である。百日咳菌には気管支敗血症菌(B. bronchiseptica)やパラ百日咳菌(B. parapertussis)という同様に宿主の呼吸器に感染して咳発作を起こす類縁菌がある。全ゲノム配列の解析結果から,これら3菌種は遺伝学的にきわめて近縁で,主要病原因子はほとんどすべて共有され,かつその他の共有する遺伝子の相同性も高いことが明らかになっている。しかし,これらの宿主特異性や宿主に起こす病態は明らかに異なる。それはなぜか? 数年前から当研究室(大阪大学微生物病研究所・分子細菌学分野)はこの問題に取り組んでいる。