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特集 非結核性抗酸菌症の今日的問題
4.脂質免疫の新視点から見た非結核性抗酸菌感染症
Nontuberculous mycobacterial infection from the window of lipid immunity
水谷龍明
1
,
杉田昌彦
2
Mizutani Tatsuaki
1
,
Sugita Masahiko
2
1京都大学ウイルス研究所・細胞制御研究分野 助教
2京都大学ウイルス研究所・細胞制御研究分野 教授
キーワード:
非結核性抗酸菌
,
CD1
,
脂質免疫
,
ミコール酸
,
ミコール酸含有脂質
Keyword:
非結核性抗酸菌
,
CD1
,
脂質免疫
,
ミコール酸
,
ミコール酸含有脂質
pp.49-55
発行日 2016年7月25日
Published Date 2016/7/25
DOI https://doi.org/10.20837/2201608049
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結核菌や非結核性抗酸菌,らい菌などの抗酸菌は脂質に富む堅牢な細胞壁を有している。この細胞壁の特質は菌の抗酸性を規定するだけでなく,菌の生存や病原性にも深く関与している。抗酸菌細胞壁脂質,とりわけその基本骨格を構成するミコール酸やミコール酸を含有した脂質群が宿主環境との接点において多様な免疫刺激活性を発揮し病態形成に寄与する。環境常在菌であるMAC(Mycobacterium avium complex)菌などの非結核性抗酸菌は宿主環境に適応してその脂質組成をダイナミックに変容させる。一方,宿主はこれを鋭敏に検知し,新たな免疫応答を誘起することが明らかとなりつつある。脂質変化とその免疫認識を基盤にした病原体:宿主間クロストークの研究は非結核性抗酸菌感染症の新たな診断法や予防法の確立へと結実しようとしている。