連載 薬剤品質管理ブックレット(5)
ボリコナゾールの「効能・効果」追加承認-造血幹細胞移植患者における深在性真菌症の予防-
松山敏
1
,
室高広
2
Matsuyama Satoshi
1
,
Muro Takahiro
2
1ファイザー株式会社エスタブリッシュ医薬品事業部門メディカル・アフェアーズ統括部感染症・バイオシミラー領域部
2長崎大学病院薬剤部 副薬剤部長
pp.114-126
発行日 2016年2月25日
Published Date 2016/2/25
DOI https://doi.org/10.20837/2201603114
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造血幹細胞移植(HSCT)患者において,深在性真菌症を含む感染症の管理は治療成功のための重要な要因のひとつである。アスペルギルス症は増加傾向であり,死亡率は依然として高いことから,ガイドラインなどで抗真菌薬の予防投与が推奨されているが,国内ではHSCT患者の真菌感染症予防に使用できる薬剤は限られていた。2015年8月,これまで深在性真菌症の治療薬として使用されてきたボリコナゾール(ブイフェンド®)が,海外臨床試験および国内の報告をもとに「造血幹細胞移植患者における深在性真菌症の予防」の効能・効果追加の承認を取得した。今後,本剤が深在性真菌症予防の選択肢として,HSCT患者の真菌感染症管理に貢献することが期待される。