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特集 バイオフィルム研究の最前線
Ⅲ 水処理・工学 3.排水処理システムにおける細菌細胞間コミュニケーション-促進と抑制に向けて-
Bacterial cell-cell communication in wastewater treatment systems-For its enhancement and suppression-
寺田昭彦
1
Terada Akihiko
1
1東京農工大学大学院工学研究院応用化学部門 准教授
キーワード:
排水処理
,
活性汚泥
,
バイオフィルム
,
ろ過膜
,
クオラムセンシング
Keyword:
排水処理
,
活性汚泥
,
バイオフィルム
,
ろ過膜
,
クオラムセンシング
pp.108-115
発行日 2015年10月25日
Published Date 2015/10/25
DOI https://doi.org/10.20837/2201511108
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排水処理施設にある生物反応槽は,活性汚泥と呼ばれる多種多様な細菌を含む微生物群集が凝集して懸濁している状態や,微生物が固定化されたバイオフィルムの状態のどちらかが導入され,異なる細菌群の相互作用により,排水中の有機物・窒素・リンが除去されている。このような生物反応槽に存在する凝集体の中では,雑多な細菌群がクオラムセンシングのような細菌間コミュニケーション機構を行っていることが明らかになってきている。クオラムセンシングが行われることにより,生物反応槽の性能を向上させるひとつの手法に成り得る一方で,水・排水処理のろ過膜の目詰まりを引き起こす厄介な課題にも成り得る。どちらの場合においてもクオラムセンシングを制御することが重要であることは共通認識になっており,近年では積極的な利用と抑制のための技術開発が行われている。本誌読者にとって馴染みのない内容であることには違いないが,この機会を利用し,クオラムセンシングと排水処理とのかかわりについて紹介させていただきたい。