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特集 国境を越える重症新興・再興感染症
12.常時警戒すべき輸入感染症 -日本において監視されるべき輸入感染症-
Infections diseases, which must be monitored on the imported infections in Japan
西條政幸
1
Saijo Masayuki
1
1国立感染症研究所ウイルス第一部 部長
キーワード:
輸入感染症
,
デング熱
,
チクングニア熱
,
西ナイル熱
,
ヒトサル痘
Keyword:
輸入感染症
,
デング熱
,
チクングニア熱
,
西ナイル熱
,
ヒトサル痘
pp.109-114
発行日 2015年5月25日
Published Date 2015/5/25
DOI https://doi.org/10.20837/2201506109
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日本からの海外旅行者は統計が取られはじめた1963年以降,年々増加を続け,年間1,800万人を,逆に日本への入国者も最近,1千万人を超えた。日本で消費される食品を栄養価で換算すると,海外からの輸入製品(産物)の占める割合は60%を超えるとされる。このように,日本を含めて世界各国は互いに国際社会とのつながりをあらゆる側面で深めている。ヒトの国際的な交流・移動,物資の輸出入の高まりとともに,感染症の輸出入の頻度および,そのスケールが高まりつつある。デング熱,チクングニア熱等の蚊媒介性ウイルス感染症の流行地域は拡大を続け,西ナイルウイルス感染症は1999年以降,アメリカ大陸ではじめて流行が確認され,米国を含むアメリカ大陸は,いまや西ナイル熱の持続的な流行地となった。最近の輸入感染事例の特徴として,動物由来ウイルス感染症事例が多いこと,輸入感染症が国や州をまたがり大規模な流行を起こしている事例があること,そして,ワクチン接種により流行が治まっている国への,流行国からの輸入感染事例が多く報告されていることがあげられる。動物の輸出入が原因で,ある感染症が非流行国で発生することもある。その代表的感染症は2003年に米国で流行したヒトにおけるサル痘ウイルス感染症である。あらゆる側面で国際交流の盛んな現代では,多種多様な輸入感染症に対する緻密な対策が求められる。