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特集 世界に広がるトロピカルディジージズ
4.マラリア
Malaria
狩野繁之
1
Kano Shigeyuki
1
1独立行政法人国立国際医療研究センター研究所熱帯医学・マラリア研究部 部長
キーワード:
マラリア
,
再興感染症
,
Plasmodium knowlesi
,
薬剤耐性
,
アルテミシニン
Keyword:
マラリア
,
再興感染症
,
Plasmodium knowlesi
,
薬剤耐性
,
アルテミシニン
pp.52-59
発行日 2013年7月25日
Published Date 2013/7/25
DOI https://doi.org/10.20837/2201308052
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オーストラリアのシドニーで開催された“Malaria 2012”ハイレベル会議では,アジア・太平洋地域におけるアルテミシニン耐性マラリアの積極的封じ込めが重要な議題となった。メコン川流域で,かつての第一選択薬に次々と薬剤耐性マラリアが出現して拡散している現在,それに対抗するアルテミシニン混合療法(ACT:artemisinin-based combination therapy)の有効性を維持させることが世界のマラリア対策の喫緊の課題である。確かにACTによる積極的マラリア対策で今日のマラリアによる死亡者数は2000年のそれに比べれば25%以上,減少したと見積もられる。しかしながら,人々の世界的な移動手段の向上により熱帯熱マラリア原虫はアフリカ地域からもわが国に即日運ばれてくる。それどころか,近年の韓国における三日熱マラリアの再興も対岸の火事としてのんびりと構えているわけに行かない。マラリアはいまだに世界に広がるトロピカルディジーズの代表例である。