６．真菌感染症とその治療

Fungal infections of the central nervous system and chemotherapy

　自然界のあらゆる場所に真菌は存在しており，病原真菌は400種を越えるとされている。免疫不全宿主に多くみられる深在性真菌症は増加傾向にあり，その中でも中枢神経系真菌感染症は致命的な疾患であるため診断・治療には注意を払う必要がある。中枢神経系真菌感染症の原因真菌としてクリプトコックス属がよく知られており，アスペルギルス属・ムーコル属・カンジダ属真菌による中枢神経系感染症も漸増傾向にある。地域流行型真菌症であるコクシジオイデス症・ヒストプラスマ症も無視できない。診断・治療を的確に行うために，まずは知識として頭の片隅に留めておくことが，致命的な中枢神経系真菌感染症の予後を改善するために貢献するであろう。