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AIDSにおける日和見感染症として最も多く遭遇する真菌感染としては,Candida albicansによるカンジダ症,Cryptococcus neoformansによるクリプトコックス症で,Histoplasma cap-sulatumによるヒストプラスマ症,Coccidioidesimmitisによるコクシディオイデス症はわが国ではまずない1).また,まれではあるが重篤な真菌症としては,Penicillium marneffeiによるペニシリウム症,Aspergillusによるアスペルギルス症,Mucorによるムーコル症なども生じる.無治療のHIV感染患者に最も頻発するカリニ肺炎の原因微生物であるPneumocystis cariniiは,最近ではribosomal RNAの解析から真菌に近い生命体であることが明らかになり,真菌症の1つとして取り上げられる3).β―D―グルカン値が高いこと,一部の抗真菌剤による治療でカリニ肺炎が良くなることも真菌症の裏付けともなっている.
CD4陽性リンパ球数が200/μlから100/μlになるとカリニ肺炎や口腔カンジダ症,食道カンジダ症が,50/μl以下になるとクリプトコックス髄膜炎が認められやすくなる1).口腔粘膜カンジダ症はほとんどのAIDS患者にみられるが,食道カンジダ症は口腔カンジダ症に比べると少なく,全身性カンジダ症は剖検においてもまれである.肺以外のクリプトコックス症は多いが,全身播種性のヒストプラスマ症やコクシジオイデス症はわが国ではない.侵襲性アスペルギルス症がまれであるのは,AIDSでは多型白血球機能が正常であり細胞性免疫の役割はより少ないからであると考えられている.Vandenら1)によれば,エイズの全経過を通じて全患者の58~81%が1つあるいは2つ以上の真菌感染を生じ,10~20%が真菌感染が直接死因となっていると報告している.
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