Japanese
English
特集 神経系感染症
5.ウイルス性髄膜脳炎
Viral meningoencephalitis
庄司紘史
1
,
芝原友也
2
,
福嶌由尚
3
Shoji Hiroshi
1
,
Shibahara Tomoya
2
,
Fukushima Yoshihisa
3
1聖マリア病院神経内科 主幹
2聖マリア病院脳血管内科
3聖マリア病院脳血管内科 診療部長
キーワード:
ウイルス性髄膜脳炎
,
急性脳症
,
単純ヘルペス脳炎
,
単純ヘルペスウイルス1,2型
,
ヘルペス属ウイルス
Keyword:
ウイルス性髄膜脳炎
,
急性脳症
,
単純ヘルペス脳炎
,
単純ヘルペスウイルス1,2型
,
ヘルペス属ウイルス
pp.56-64
発行日 2014年7月25日
Published Date 2014/7/25
DOI https://doi.org/10.20837/2201408056
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ウイルス性髄膜脳炎では,発熱,頭痛,意識障害,けいれん発作,髄膜刺激症状などが主要症候であるが,治療開始は予後に影響し,鑑別診断を含め迅速さが要求される。重症度の判定は,意識レベル,バイタルサイン,けいれんの有無による。脳炎・髄膜炎の診断は,現病歴・神経学的所見,血液生化学・髄液・CT・MRI・脳波所見により判断し,原因的検索はウイルスPCR(polymerase chain reaction:ポリメラーゼ連鎖反応)・抗体検査などを行う。緊急処置には,気道確保,抗けいれん剤の投与などで単純ヘルペス脳炎が疑われる場合,アシクロビルの点滴静注に踏み切る。初感染層の上昇や高齢化時代を反映し,単純ヘルペス脳炎は高齢化を示しており,また,ヘルペス属ウイルスによる髄膜脳炎の増加傾向がみられ,潜伏感染からの発症機序による。結核性・真菌性髄膜炎など各種髄膜炎,また,言動異常で発症する自己免疫性辺縁系脳炎/脳症との鑑別が治療上重要である。グローバル化とともに,西ナイルウイルス脳炎,日本脳炎,狂犬病などの輸入感染症としての,思わぬ髄膜脳炎などの混入にも注意が必要である。