Japanese
English
特集 HIV感染症の長期的治療戦略
3.治療処方の単純化の動向
Trends of developing simplified regimens of antiretrovirals
白阪琢磨
1
Shirasaka Takuma
1
1国立病院機構大阪医療センターHIV/AIDS先端医療開発センター センター長
キーワード:
HIV-1
,
ART
,
STR
,
QOL
Keyword:
HIV-1
,
ART
,
STR
,
QOL
pp.45-52
発行日 2013年8月25日
Published Date 2013/8/25
DOI https://doi.org/10.20837/2201309045
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1981年に報告されたHIV感染症/AIDSに対する最初の治療薬であるAZT(アジドチミジン)が1987年に承認され,26年が経過した。1996年頃に登場したPI(プロテアーゼ阻害剤)を含む多剤併用療法は優れた有効性を示したが,当時は副作用や服用継続に難点が認められた。多剤併用療法は血中のウイルス量を測定感度未満に抑え続け,CD4数も回復できるため,有効性と安全性を長期に持続できれば寿命をまっとうできるだろうとの期待が生まれた。有効性そして安全性,さらに,服用者のQOL(quality of life)にも配慮した薬剤開発の流れは1日1回1錠の服用でよいSTR(single tablet regimen)を現実のものにした。HIV感染者が安心して治療を受けながら質の高い生活を送るためには抗HIV薬の開発で克服されるべき課題がまだ残っている。STRの登場は優れた抗HIV療法の開発の上で画期的な一歩と言えるだろう。