Japanese
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特集 HIV感染症の長期的治療戦略
序 -HIV感染症の早期発見・早期治療開始の意義と課題-
Importance of early testing and early initiation of treatment for HIV infection -perspective and related issues
木村哲
1
Kimura Satoshi
1
1東京医療保健大学/大学院 学長
キーワード:
抗HIV療法(ART)
,
QD処方
,
STR
,
HPTN 052
,
treatment as prevention
Keyword:
抗HIV療法(ART)
,
QD処方
,
STR
,
HPTN 052
,
treatment as prevention
pp.26-29
発行日 2013年8月25日
Published Date 2013/8/25
DOI https://doi.org/10.20837/2201309026
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HIV感染症は1996年の多剤併用による抗HIV療法(ART)の出現により「長期にわたりコントロール可能な慢性感染症」になった。途上国においてもARTが普及してきている。初期のARTは副作用が強く,服用回数・錠数が多いなど,長期に継続することが困難で,耐性ウイルス出現のリスクに曝されていた。このため,2002年頃からはCD4陽性リンパ球数(以下,CD4数と略す)が200個/μL近くになるまで服用開始時期を遅らせることが推奨されるようになったが,免疫系のダメージが進む前にARTを開始したほうがよいことが示されたことに加え,長期服用に適した薬が次々と開発されたことを受け,2008年頃から治療開始時期はCD4数350個/μL未満に上げられ,次いで2010年には500個/μL未満に上げられた。ARTにより二次感染が防止できることも早期開始を後押ししている。いくつかの課題はあるものの,早期の抗体検査による感染の早期発見と早期治療が重要であることは間違いない。