10．バイオセキュリティに関する国際動向

International trends concerning biosecurity

　2001年の同時多発テロと，それに続く炭疽菌郵送事件から10年以上が経過し，米国のバイオセキュリティ規制にも変化が生まれている。ヨーロッパでは生物学的リスクを組織的にマネジメントする方法を標準化する動きが進んでいる。米国やヨーロッパで病原体のリスクに応じた管理を行うための体制が整いつつある一方で，東南アジア，中央アジアおよびアフリカなどの発展途上の地域では，科学者が安全に研究を行うための機器や設備もないような状況が続いている。バイオセキュリティの強化は多国間交渉によって合意されているが，トップダウンのアプローチでは発展途上国の状況を改善するのは困難である。そのような中，諸外国，地域組織および国際NGOが実施するボトムアップのアプローチの重要性が認識され始めている。