９．国際保健規則と国際感染症対策

International Health Regulations and global infectious disease control

　MERS（中東呼吸器症候群）コロナウイルス感染症や鳥インフルエンザA（H7N9）など，国際的な拡大が懸念される新たな感染症の発生が近年相次いでいる。世界保健機関（WHO）を中心とした国際的感染症対策の基盤となるのが国際保健規則である。改正国際保健規則（2005）では，加盟国が準備すべきコア・キャパシティを規定し，WHOとの国内連絡窓口を定めることや，原因を問わず国際的な公衆衛生上の緊急事態を構成する恐れのあるすべての事象を評価し，該当する事象をWHOに通告することなどを各国に求めている。本稿では，国際保健規則の概要と，わが国における国内連絡窓口の機能や活動を紹介するとともに，国際感染症対策の中での活用事例を概説する。