連載・臨床薬学のための病態生理(15) 各論 各種病態と薬物療法のターゲット
2.骨・関節疾患 変形性関節症
村木重之
1
1むらき整形外科クリニック・院長
pp.851-855
発行日 2019年3月1日
Published Date 2019/3/1
DOI https://doi.org/10.20837/1201903851
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変形性関節症(OA)は,いずれの関節でも起こり得るが,特に膝および脊椎に多く見られる。正常な膝関節では骨の表面を軟骨が覆っており,関節運動に際しては軟骨の表面同士が滑らかに擦れ合う。変形性膝関節症では関節軟骨が摩耗し,軟骨が消失して軟骨の下にある骨(軟骨下骨)が露出する。軟骨が摩耗すると,関節運動の滑らかさが失われるだけでなく,クッションの役目もなくなり,痛みやADL(activities of daily living)障害が生じやすくなる。腰椎では,椎間板が変性し,骨棘ができることにより,腰部脊柱管狭窄症を引き起こす。一方,股関節や足関節,肩関節ではOAの有病率は極めて低い。OAとその主要な症状である痛みとは,必ずしも強い相関があるとは言えないことは注意すべきポイントである1)~3)。軟骨変性や骨棘を改善する有効な治療法はなく,治療の主なターゲットは痛みを和らげることにある。