特集 インフルエンザの動向とその対策2018 ~ 2019
1.序文 ~インフルエンザはいつからあるのか?~
渡辺彰
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1東北文化学園大学医療福祉学部抗感染症薬開発研究部門・特任教授/公益財団法人宮城県結核予防会・理事長
pp.2193-2195
発行日 2018年10月1日
Published Date 2018/10/1
DOI https://doi.org/10.20837/12018102193
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インフルエンザの流行はギリシャ時代には既に記録があり,紀元前430年頃のペロポネソス戦争がインフルエンザの勃発のため終結している。わが国でも平安時代の西暦862年(貞観4年)に京都を中心とした大流行の記録が残っている。人々は昔からインフルエンザに苦しめられてきたのであるが,現代にいたっても同じであり,わが国では毎年1,000万人以上が罹患し,1,000人単位の死者が出ている。しかし,わが国は2018年登場の新薬を含めて世界で最も多くの抗インフルエンザ薬を使えるだけでなく,その開発においても世界の先頭を切っており,これを有効に使うためには疫学から治療,予防を含めてインフルエンザをよく知ることが必要である。