医薬ジャーナル論壇
悩める大学全入時代の高等教育
佐々木均
1
1長崎大学病院薬剤部教授・薬剤部長
pp.1581-1583
発行日 2018年7月1日
Published Date 2018/7/1
DOI https://doi.org/10.20837/12018071581
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大学の高等教育は,常に社会の要請に応じた高度な人材の供給を担ってきた。日本では,経済成長と福祉国家政策により,大学への進学率が急激に高まり,大学間序列が拡大するとともに,受験競争が激化した。しかし,今や大学全入時代となり,入学者の学力・意欲の低下の傾向が顕著になっている。薬科大学や薬学部も例外ではなく,定員の増加により,入学者の学力の低下とばらつきが顕在化しており,その対策として米国の教育ツールの導入を図っている。しかし,教育には多大な労力がかかることより,効率的な運営だけではなく,社会全体の投資としての高等教育を考える必要がある。