特集 急性白血病の薬物療法のupdate ~最新の診断・治療戦略~
2.FLT3阻害剤(midostaurin):FDA承認(FLT3変異陽性未治療成人AML
清井仁
1
1名古屋大学大学院医学系研究科病態内科学講座血液・腫瘍内科学・教授
pp.1209-1214
発行日 2018年5月1日
Published Date 2018/5/1
DOI https://doi.org/10.20837/12018051209
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Midostaurinは,当初Protein kinase C(PKC)に対して阻害活性を有するマルチキナーゼ阻害剤として開発されていた。FLT3 遺伝子変異の同定後,FLT3(Fms-Like Tyrosine Kinase 3)に対する阻害活性を有することから,FLT3 遺伝子変異陽性急性骨髄性白血病(AML)に対する治療薬としての開発が進められてきた。Midostaurin単剤では有効性は見出されなかったが,FLT3 遺伝子変異陽性未治療成人AMLを対象としたプラセボ対象ランダム化比較試験において,従来の標準的化学療法と併用することによって全生存率を向上させることが報告された。 Midostaurinは2017年に米国食品医薬品局(FDA)で承認され,現在,日本でも承認を目指した臨床試験が開始されている。FLT3 遺伝子変異の同定から20年を経過して,ようやくFLT3阻害剤の臨床応用が実現したが,あくまでも化学療法との併用療法であることには留意する必要がある。