特集 精神科領域における薬物療法の現状と薬剤師の役割
1.精神疾患と身体疾患を合併する患者に対する向精神薬使用時の留意点
石島洋輔
1
,
徳倉達也
1
,
尾崎紀夫
2
1名古屋大学大学院医学系研究科精神医学分野
2名古屋大学大学院医学系研究科精神医学分野 主任教授
pp.999-1004
発行日 2018年4月1日
Published Date 2018/4/1
DOI https://doi.org/10.20837/1201804999
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
- 参考文献
精神疾患と身体疾患を合併する症例は多く,これら合併症例では特に,精神疾患の治療において使用する向精神薬の身体的副作用への注意が重要となる。向精神薬の主要な副作用として,体重増加,糖・脂質代謝異常などの代謝への影響,QT延長症候群などの心血管系への影響,薬剤性せん妄などがあげられる。また身体疾患合併患者は,身体疾患に対する薬物治療が必要なことが多く,向精神薬と身体疾患治療薬の薬物相互作用も問題になる。さらに,精神疾患と身体疾患の発症や経過において,両者が深く関わる点も踏まえ治療にあたることが不可欠である。本稿では,身体疾患や身体的副作用に配慮した向精神薬の使用と薬物相互作用について概説する。