特集 急増するアレルギー疾患の現状と今後の対策~アレルギー疾患対策基本法の推進に向けての展望~
10.アレルギー疾患対策を推進するために必要な研究のデザイン
大矢幸弘
1
1国立成育医療研究センター生体防御系内科部アレルギー科・医長
pp.311-316
発行日 2018年2月1日
Published Date 2018/2/1
DOI https://doi.org/10.20837/1201802311
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
- 参考文献
アレルギー疾患対策を推進するためには,臨床に従事する研究者の研究環境を改善し,欧米に大幅な遅れをとっている臨床研究や疫学研究を推進し,基礎研究とバランスのとれた状態にする必要がある。エコロジカル研究やコホート研究などの疫学研究により,各種アレルギー疾患の発症や増悪に関するリスクファクターを同定し,複数のコホート研究やランダム化比較試験で実証し,予防や治療の確立へと結びつけていく。均質な曝露を受けるコホート集団での疫学研究では,真のリスクファクターの検出は困難となり遺伝要因が過度に強調されるため,交絡因子として注意深い研究デザインを汲む必要がある。IgEが関与しないアレルギー疾患の克服も視野に入れて,最新の情報を取り入れた精度の高い臨床疫学研究の企画が必要である。