第 II 部 注目の新薬
ハーボニー®配合錠
是永匡紹
1
,
溝上雅史
2
1国立国際医療研究センター 肝炎・免疫研究センター 肝疾患研修室長
2国立国際医療研究センター ゲノム医科学プロジェクト・プロジェクト長
pp.273-281
発行日 2017年1月31日
Published Date 2017/1/31
DOI https://doi.org/10.20837/1201713273
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ハーボニー® 配合錠とは,C 型肝炎ウイルス(HCV)に対する経口DAAs(Direct acting antivirals)製剤の一つであり,NS5A 阻害剤レジパスビル90mg と核酸型ポリメラーゼ阻害剤ソホスブビル400mg の固定用量配合剤である。ソホスブビル400mg はソバルディ® 錠としてHCV 遺伝子型(ジェノタイプ)2型に対し保険収載され,非常に忍容性が高く治験と同様に95%以上の持続的ウイルス排除(SVR)率が各施設から報告されている。だがその一方で,ソホスブビル単剤の効果には限界があるため,リバビリン(RBV)の併用が必要である。わが国のHCV 感染者の約70%を占めるジェノタイプ1型にも,ソホスブビルに異なる作用機序のレジパスビルを併用することで,国内第Ⅲ相試験では100%のSVR 率が得られている。既にハーボニー®配合錠が使用可能となってから1年以上が経過し,実臨床でも一日1回1錠+ 12 週間の内服でソバルディと同様に高い治療効果を示している。一方,先行して発売されたDAAs(NS5A 阻害剤ダクラタスビル[DCV:Daclatasvir], NS3/4 プロテアーゼ阻害剤アスナプレビル[ASV:Asunaprevir])でSVR を得られなかった症例への有効性,また適応外である肝予備能低下例へ治療方法など,更なる取り組みが必要である。