特集 インフルエンザの予防・感染対策・治療の最前線
4.インフルエンザ治療薬の進展
田村大輔
1
1自治医科大学小児科・講師/厚生労働省健康局・参与
pp.2275-2277
発行日 2016年10月1日
Published Date 2016/10/1
DOI https://doi.org/10.20837/1201610079
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国内で使用できる抗インフルエンザウイルス薬は,作用機序の違いから3種類に分けられるが,臨床現場で頻用されているものは,オセルタミビル,ラニナミビル等のノイラミニダーゼ阻害薬4剤である。ノイラミニダーゼ阻害薬の投与経路は,経口内服,吸入および点滴静注と多様性を持つことから,臨床症状や患者のニーズに対応できるが,4剤とも薬剤の作用機序がウイルス表面に存在するノイラミニダーゼであることから,薬剤耐性ウイルスの出現,特に交差耐性の懸念がある。 本稿では,新規抗インフルエンザウイルス薬として,宿主の細胞表面のシアル酸を除去する吸入薬や,ウイルスのmRNA阻害薬,そして既存薬では治療適応のない発症後48時間経過した場合の治療薬等,既存薬とは異なる作用機序を持った薬について解説する。