特集 Onco-nephrology ~腫瘍学と腎臓病学の融合~
6.腫瘍内科医と腎臓内科医の協働 2)腎臓内科医の立場から ~造血幹細胞移植においてOnco-nephrologist の必要性は高い~
安藤稔
1
1東京都立府中療育センター・副院長/前 都立駒込病院腎臓内科・部長/東京女子医科大学第4内科・客員教授
pp.2091-2096
発行日 2016年9月1日
Published Date 2016/9/1
DOI https://doi.org/10.20837/1201609097
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造血幹細胞移植は,造血系悪性腫瘍の根治療法として画期的なものである。しかし,大量の抗腫瘍薬や免疫抑制薬を投与しなければならない側面を持ち,それに関わる重篤な臓器障害を引き起こすリスクを持つ。移植に関連した臓器障害の中で急性腎障害は患者の生命予後を左右する最も重要なものである。さらに,これを免れ,または克服した者の約20~ 30%には,慢性腎臓病が合併する。頻度は低いが,移植数年後にネフローゼ症候群を発症する者もある。従って,造血幹細胞移植は,造血系腫瘍の治療に精通し,発症した腎臓病に最善の治療を提供できる腎臓医,いわゆるOnco-nephrologistの協働が不可欠な医療分野である。