特集 Onco-nephrology ~腫瘍学と腎臓病学の融合~
7.抗がん薬による腎障害への予防的対策 ~理論とエビデンス~
高田慎也
1
1北海道がんセンター薬剤部
pp.2097-2100
発行日 2016年9月1日
Published Date 2016/9/1
DOI https://doi.org/10.20837/1201609103
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抗がん薬による治療を実施する上で副作用は回避することが必須であり,特に腎機能障害の有無は治療継続において重要な因子であるため,予防や対処が必須となっている。シスプラチンを例にあげると,抗腫瘍スペクトルが広く,強力な抗腫瘍効果を有するため,現在でも,多くの治療において中心的薬剤として用いられているが,その強い腎機能障害や消化器毒性が治療を困難にしている。消化器毒性は,目覚ましい支持療法の改善がなされたが,腎機能障害においては,まだ,改善の余地があるとの意見も聞かれる。このように支持療法の開発が治療成功の重大な鍵となっている。今回は数多くある抗がん薬の中でもシスプラチン,メトトレキサートに注目し,腎機能障害のメカニズム,予防方法の現状について述べる。