特集 Onco-nephrology ~腫瘍学と腎臓病学の融合~
1.Onco-nephrologyとは
北井悠一朗
1
,
柳田素子
2
1京都大学大学院医学研究科腎臓内科学講座
2京都大学大学院医学研究科腎臓内科学講座 教授
pp.2049-2052
発行日 2016年9月1日
Published Date 2016/9/1
DOI https://doi.org/10.20837/1201609055
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近年,oncology(腫瘍学)とnephrology(腎臓病学)の関係性が注目されるようになり,onco-nephrologyという新領域が急速に進歩してきている。がん患者では,悪性腫瘍自体や薬剤の影響を受け,さまざまな腎障害を発症するため,がん診療にあたる医師はそれらを熟知することが必要不可欠である。それと同時に,onco-nephrologyの領域には,課題が残されていることも認識する必要性がある。まずは,透析患者でどのようにがんスクリーニングを行うかである。一般に推奨されているがんスクリーニング法を透析患者に適応することは,費用的,臨床的側面から推奨されないという報告が多い。ただ,透析患者は年齢や併存合併症もさまざまであり,個々の患者に応じたがんスクリーニング法を設定する必要がある。また,腎機能低下時の抗がん薬投与プロトコルが定まっていないことも課題である。過去の症例報告や推奨を参考にし,抗がん薬の特性を考慮しながら経験的に減量しているのが現状であり,腎機能低下時の化学療法のガイドラインの確立は急務である。