連載 ●副作用・薬物相互作用トレンドチェック
注目論文を読み解く (43)
佐藤宏樹
1
,
澤田康文
2
1東京大学大学院薬学系研究科育薬学講座
2東京大学大学院薬学系研究科育薬学講座 教授
キーワード:
● 脳症, CYP1A2阻害,P-糖タンパク質誘導,低血糖,爪甲脱落症
Keyword:
● 脳症, CYP1A2阻害,P-糖タンパク質誘導,低血糖,爪甲脱落症
pp.2440-2445
発行日 2015年10月1日
Published Date 2015/10/1
DOI https://doi.org/10.20837/1201510190
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〔今月の注目論文のポイント〕 1.糖尿病のためメトホルミンを服用していた高齢患者において,乳酸アシドーシスを伴わない脳症,腎機能悪化を4度にわたって繰り返し,中止により改善した症例が報告されている。 2.健康成人を対象とした検討において,清上防風湯の投与によりチトクロムP450(CYP)1A2の活性(カフェイン投与後の尿中代謝物比)が低下したことが報告されている。 3.健康成人を対象とした検討において,レンバチニブの血漿中濃度は,リファンピシンの単回併用時には上昇し,リファンピシン反復投与後にはわずかに低下したことが報告されている。 4.米国の医療情報データベースを用いた症例対照研究において,グリベンクラミドとフェノフィブラートの併用により重篤な低血糖のリスク上昇を認め,薬力学的相互作用の可能性が示唆されている。 5.甲状腺機能低下症のためレボチロキシンを服用していた患者において,リネゾリドの経口投与で治療域の血中濃度を得るために高用量を要した症例が報告され,両剤の相互作用の可能性が示唆されている。 6.てんかんのためカルバマゼピンを服用していた小児において,手足の爪が黄変を認め,爪甲脱落症を呈し,中止により改善した症例が報告されている