特集 インフルエンザの最新事情とその対策 ~ One Healthの 観点から~
1.インフルエンザ流行の疫学 ~この100年間を 振り返り,今後を展望する~
石田直
1
1公益財団法人 大原記念倉敷中央医療機構倉敷中央病院呼吸器内科・主任部長
pp.2363-2368
発行日 2015年10月1日
Published Date 2015/10/1
DOI https://doi.org/10.20837/1201510113
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人類は,20世紀に4回のインフルエンザパンデミック(スペインかぜ,アジアかぜ,香港かぜ,ソ連かぜ)を経験してきた。21世紀に入ると,2009年にブタ由来の新型ウイルスA/H1N1pdm2009による直近のパンデミックを経験したが,インフルエンザ研究の進歩,抗ウイルス薬の開発により,対処してきた。その後は,A/H1N1pdm2009,A/H3N2とB型2種のウイルスが,シーズンごとに異なる傾向で流行を繰り返している。インフルエンザの超過死亡の多くは続発性の細菌性肺炎であり,原因として肺炎球菌が最多である。2013年に中国で発生したA/H7N9鳥インフルエンザは,現在までに広範なヒト-ヒト感染は確認されていないが,パンデミックの可能性が危惧されている。