特集 臨床1年目の体験をめぐって
臨床1年間を振り返っての決意
K.T.
pp.525-528
発行日 1983年5月1日
Published Date 1983/5/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1661922944
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はじめに
生まれも育ちも道産子である私は,4年前に高校を卒業し,大好きな北海道をあとにして道外の看護短大へ入学した,入学当初は,北海道恋しさのあまり,何につけても当たりちらし,落ち着かない日々を送っていた私だった.そこで2年生になった時,それまでの授業料や食費などの一部を援助してもらう代わり,卒業後の1年間は指定の病院で勤務することを義務づけられる条件から逃れ,一切を自己負担するかわりに卒業後の就職は自由な立場の学生となった.それからの私は,‘卒業したら北海道へ帰れる’という希望に支えられて,ようやく看護というものに真剣に取り組み始めた.
いま思えば,ほかの同級生たちよりも,なんと遅いスタートであったろうと思う.この看護学生として過ごした3年間,苦しみ,あえぎ,もがきながらも,ただひたすら‘北海道’を支えにして,なんとか乗り越えてきた.そして去年,涙の卒業式(しかし私の心の中は,北海道気分で明るかった)をむかえ,同級生はほとんど学校の周辺に残り,何人かずつ指定された病院へ配属されるのに,私はたった1人,新卒として現在の病院に就職したのである.かねてから念願の北海道,明けても暮れても北海道であったはずなのに,いざ就職してみると,様々な疑問を感じ,驚きに似た感情にとらえられて,少しばかり私の様子が違ってきた.
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