連載 副作用・薬物相互作用トレンドチェック
注目論文を読み解く 〈38〉
佐藤宏樹
1
,
澤田康文
2
1東京大学大学院薬学系研究科育薬学講座
2東京大学大学院薬学系研究科育薬学講座 教授
キーワード:
● 腎機能障害,CYP阻害,光線過敏症,交差感受性,Triple Whammy
Keyword:
● 腎機能障害,CYP阻害,光線過敏症,交差感受性,Triple Whammy
pp.1392-1397
発行日 2015年5月1日
Published Date 2015/5/1
DOI https://doi.org/10.20837/1201505156
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〔今月の注目論文のポイント〕 1.リバーロキサバンの血中濃度は腎機能障害やエリスロマイシン併用で上昇し,腎機能障害かつエリスロマイシン併用では相加的に上昇することが報告されている。 2.クロバザム継続服用中にスルチアムが追加または中止された患者において,スルチアム併用中のクロバザム活性代謝物の血清中濃度が非併用時よりも高かったことが報告されている。 3.リバスチグミンパッチ製剤でアレルギー皮疹を呈したアルツハイマー型認知症患者において,ガランタミン経口製剤に変更後,皮疹が再発した症例が報告されている。 4.フルボキサミン服用により色素沈着などの光線過敏症を呈し,エスシタロプラムへの変更で悪化し,フルオキセチンへの変更でも改善しなかった症例が報告されている。 5.ジゴキシン服用中の心不全患者において,オメプラゾール併用群と非併用群との間で,ジゴキシンの薬物動態に差を認めなかったことが報告されている。 6.ACE(アンジオテンシン変換酵素)阻害薬,利尿薬,NSAIDs(非ステロイド性抗炎症薬)を併用(Triple Whammy)していた患者において,手術による周術期低血圧などのストレスが重なり,術後に急性腎障害を呈した症例が報告されている。