特集1 医師主導臨床試験への提言 ~今,何が求められているのか~
6.医師主導型臨床試験の 「モニタリング」と 「監査」についての提言
山本晴子
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1独立行政法人 国立循環器病研究センター 研究開発基盤センター 先進医療・治験推進部・部長
pp.75-78
発行日 2015年1月1日
Published Date 2015/1/1
DOI https://doi.org/10.20837/1201501075
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本稿では,平成25年(2013年)度厚生労働科学研究費補助金事業として,慶應義塾大学大学院法務研究科の磯部 哲教授を研究代表者とする「臨床研究に関する欧米諸国と我が国の規制・法制度の比較研究」において行われた,英,仏,米3カ国の調査結果から,研究データの信頼性確保の方法としてのモニタリングと監査の調査結果を紹介する。臨床研究の質の確保は先進国に共通の問題であり,どの国も過去にさまざまな事件を経験し,その対応として法規制や運用等を見直してきた経緯がある。
現在の欧米における法規制と運用は,モニタリング,監査とも,欧州でも米国でも定義や方法が一様ではなく,必ずしもICH-GCP(International Conference on Harmonisation of Technical Requirements for Registration of Pharmaceuticals for Human Use)と同一ではないことも判明した。わが国も,昨今の不祥事を良い機会として制度を再考すべき時期だが,臨床研究のリスクと結果の影響に応じた実効性の高い方法を選択すべきである。また,国際共同研究等への影響を考え,欧米の制度との一定の協調性にも配慮すべきと考える。