特集 非専門医のための糖尿病診療 最新のエビデンスとともに
【合併症の管理】
眼科疾患―糖尿病網膜症
北野 滋彦
1
1東京女子医科大学糖尿病センター眼科
キーワード:
糖尿病網膜症
,
高血糖
,
高血圧
Keyword:
糖尿病網膜症
,
高血糖
,
高血圧
pp.536-538
発行日 2009年7月15日
Published Date 2009/7/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1414101729
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Case
急速な血糖是正により糖尿病網膜症が悪化した1症例
患者:30歳,男性.会社員.
主訴:両眼視力低下.
家族歴:両親が糖尿病.
既往歴:特記すべきことなし.
現病歴:2002年検診にて尿糖を指摘されたが放置,2006年4月に視力低下を自覚し,近医を受診した.白内障のみで眼底に異常所見は認められず,2007年1月に両眼白内障手術を施行されている.しかし,2月に両眼の眼底出血がみられるようになり,内科を紹介された.1週間後血糖コントロール目的で入院となり,アマリール®(グリメピリド)2mgの内服治療が開始され,その後グリコラン®(メトホルミン塩酸塩)750mgが追加され,4月にはHbA1cは6.5%と急速に血糖が是正された.両眼の網膜出血が増悪し,蛍光眼底造影で血管透過性亢進がみられた.ステロイド局所注射を併用した網膜光凝固を反復することにより,網膜症の鎮静化が得られた.
長期間にわたり血糖コントロールが不良で,すでに進行した網膜症がみられる症例において,急速な血糖の是正(HbA1cで1カ月0.5%以上)があった場合には,詳細な眼底検査を行う必要がある.
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