Japanese
English
特集 いかに創薬を進めるか
網膜疾患治療薬創薬の戦略
A strategy for drug discovery in retinal diseases
嶋澤 雅光
1
,
稲垣 賢
1
Shimazawa Masamitsu
1
,
Inagaki Satoshi
1
1岐阜薬科大学生体機能解析学大講座薬効解析学研究室
キーワード:
iPS細胞
,
オートファジー
,
小胞体ストレス
,
緑内障
Keyword:
iPS細胞
,
オートファジー
,
小胞体ストレス
,
緑内障
pp.333-338
発行日 2018年8月15日
Published Date 2018/8/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.2425200828
- 有料閲覧
- Abstract 文献概要
- 1ページ目 Look Inside
- 参考文献 Reference
わが国の視覚障害の原因のほとんどは網膜・視神経の障害に起因し,緑内障,糖尿病網膜症,網膜色素変性症,加齢黄斑変性などの網膜・視神経疾患が中途失明原因の上位を占めている。なかでも,緑内障は40歳以上の20人に1人(平均有病率5%)が罹患し,中途失明原因の第1位の眼疾患である(多治見スタディ)1)。
緑内障は,「視神経と視野に特徴的な変化を有し,通常,眼圧を十分に下降させることにより視神経障害を改善もしくは抑制し得る眼の機能的構造的異常を特徴とする疾患である」と定義され,緑内障に伴う視神経の障害を緑内障性視神経症(glaucomatous optic neuropathy;GON)と呼称される[緑内障診療ガイドライン(第4版)]。本疾患は年齢と共に失明の割合が高くなり,特に高齢化に伴い深刻な社会問題となっている。現在の緑内障治療には,エビデンスに基づいた唯一確実な治療法として薬物,レーザーまたは手術により眼圧を下降させる眼圧下降療法が用いられている。一方,緑内障全体のなかで眼圧が正常範囲内の正常眼圧緑内障(normal tension glaucoma;NTG)が72.0%を占めることが明らかにされている。このように,眼圧が正常範囲内であるにもかかわらず,緑内障性視神経症が進行する患者が非常に多い。
Copyright © 2018, THE ICHIRO KANEHARA FOUNDATION. All rights reserved.