特集 特集 miRNAの実力:診断から治療まで
2.miRNAを用いたがん診断の現状と展望
吉岡祐亮
1
,
落谷孝広
2
1国立がん研究センター研究所分子細胞治療研究分野
2国立がん研究センター研究所分子細胞治療研究分野分野長
pp.2821-2825
発行日 2014年12月1日
Published Date 2014/12/1
DOI https://doi.org/10.20837/1201412067
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近年,がんは医療の発達に伴い早期発見によって治療成績が向上しており,早期発見可能な診断マーカーの重要性が説かれている。また,各人に合った治療法の選択を行う個別化医療の実現に向け,コンパニオン診断薬の需要が高まっており,さらには治療効果を簡便にモニタリングできるマーカーも必要となっている。そのような背景の中,体液中に病態を反映するmicroRNA(miRNA)が循環していることが相次いで報告され,新たな診断マーカーとして注目されている。事実,ここ数年で体液中に存在するmiRNAに関する報告数は急増し,がん種ごとの特異的な体液中miRNAカタログの作製も可能になった。しかし,実用化に向けて,いくつかの問題を克服する必要があり,本稿ではmiRNAを用いたがん診断の現状と展望を概説する。