医薬ジャーナル論壇
“健康情報拠点”としての薬局の使命 ―セルフメディケーション支援で地域医療に貢献―
前田健一郎
1
1本誌編集部
pp.1711-1713
発行日 2014年7月1日
Published Date 2014/7/1
DOI https://doi.org/10.20837/1201407023
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薬局に求められる役割が,今,大きく変化しようとしている。地域住民の“健康情報拠点”という社会的機能の拡充が,医薬品の適切な供給とともに期待され始めているのである。超高齢社会の到来を迎え,国は,社会保障制度を抜本的に見直すとともに,医療提供体制の改革にも着手した。即ち,病院が中心であったこれまでの医療を,地域医療を核としたものにシフトしようとしているのである。高齢者が,住みなれた環境で健康長寿を全うするには,居宅の近くに,いつでも健康相談ができる施設が不可欠になる。そこで薬局が,この地域医療の重要な担い手として,これまで以上に注目されるようになった。医薬分業率が,全国平均で60%を超えた現在,薬局での処方箋調剤の応需は,広く定着しつつある。一方,かつて薬局薬剤師は,OTC医薬品(一般用医薬品)の販売などを通じて,地域住民に健康アドバイスをする身近な医療人でもあった。厚生労働省は,2014年度の予算に,「薬局・薬剤師を活用した健康情報拠点推進事業」を盛り込み,薬局を,地域における健康情報の発信基地にすることを目指している。今,改めて薬局薬剤師は,「街の科学者」という原点に立ち返り,薬物療法の適正化を通じて,地域の人々の健康を守る存在となることが望まれる。